業務効率化にはどんなアイデアがある?

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業務効率化は多くの企業の課題でもあります。しかし、実際に効率化させるには時間と労力が必要です。業務効率化の方法自体はネットを利用すれば多く見つかりますが、「業務を効率化するための方法」だけを調べて実践しても、効果が期待できないことも多くあります。

基本的な方法やコツを押さえることはもちろん、大切なのは「過去に実践されたアイデアや事例を参考にする」ことです。そこで今回は、これまでに実践された事例などを交えつつ業務効率化のコツを紹介していきます。

 

ここでは、これまでに実践されてきた業務効率化を促進するアイデアや事例を10選紹介します。難しいものはなく、どれも明日から挑戦できるものばかりです。ぜひ参考にしてみてください。

業務をなくす

業務をなくすというのは、仕事をしないことを指すのではなく「無駄な業務をなくす」という意味です。これは業務の改善案を考える上で、最初に考えなくてはならない点です。ムダな業務とは、たとえば会議などで必要ではない資料を作ってしまった場合、この資料を作成するための時間もムダと言えるでしょう。

他の人にとっては重要な資料となる可能性もありますが、そのような少ない可能性に備えておくよりも、本来あなたがやるべき業務に集中した方が効率的です。業務をなくすコツとしては、「本当にこの資料は使うことがあるのだろうか」「今の業務が何につながっているのだろうか」という部分を考えながら行動することです。

業務の優先順位を決める

無駄な業務を省いたあとは、残った業務の優先順位を決めていきましょう。業務効率化を図る上では、簡単ですが重要なポイントです。

たとえば、作業に時間がかかる業務と時間のかからない業務がある場合は、先に時間がかかる業務に取り組みます。その業務の合間に、時間のかからない業務もできるかもしれません。先に終わるからと時間のかからない業務にばかり気を取られていると、時間のかかる業務が終わらなくなってしまう可能性もあります。

優先順位を決める場合、まずはスケジュール表などを確認しながら、時間ごとに取り組む作業を決めてみましょう。その際、「何時から何時までに〇〇の作業をする」と細かく設定していくこともポイントです。慣れてくると、1つの業務について何時までに終了すればスケジュール通りに進められるかを逆算できるようになります。

自動化する

業務内容を見ていくと、毎日のように同じ作業をしている場合もあります。このような作業の特徴は、単純なのに仕事量が多いという場合が多くあります。そして、整理方法や共有の仕方を担当者しか理解していないということも多いでしょう。そのため、担当者がいなくなった場合に業務が止まってしまうリスクもあります。

そうならないためにも、このような繰り返しの作業は自動化しておきましょう。自動化とは、マクロを利用してエクセルやメール、ワードを使った仕事を簡単に処理できるようにすることです。ボタン1つで作業が完結するようにもでき、作業効率が一気に上がります。

業務マニュアル作成

業務のやり方やルールなどをマニュアル化することで、業務の効率化を図ることができます。マニュアルというのは、読み手が業務を理解するために作られているため、読みやすければ読みやすいほど理解しやすくなります。

そのため、マニュアル作成者は知識だけを書くのではなく、読み手が理解しやすい文面や図、表などを用いながら見やすさを意識して作成しましょう。また、マニュアルは社員の入社や新しいシステムや機材の導入などに合わせて作成される場合が多くあります。導入時に作成し始めるのではなく、そのときにはマニュアルが読めるように準備しておくことが大切になるため、準備は早めにしておきましょう。

業務フローチャートを作成しておく

業務の流れを明記しておくことも、効率化につながります。業務マニュアルは、業務の内容や進め方を説明するものですが、業務フローチャートは1日を通してどのような業務があるのか、またどのような流れで進めていくのかを説明するものです。

業務の流れが分かっても、内容が理解できていなければ意味がありません。逆に、業務の内容が分かっていても全体の流れを把握していなければ、業務の効率化はできません。そのため、業務マニュアルとフローチャートを同時に作成しましょう。業務のフローチャートを確認しながら、それぞれの業務ごとのマニュアルを読んで進めていきましょう。

データベースを活用する

データベースとは、今までに会社で使われてきたデータを蓄積したシステムのことです。データを蓄積するだけでなく、それを取り出すことも可能です。たとえば、今まで取引をしてきた顧客の情報だけでなく、商品の在庫情報なども知ることができます。

データベースは他にも、顧客からの質問とその回答やどのような意見があったのか、アンケートの結果など、細かな情報も網羅しています。そのため、過去に起こった事例やその対応などを知ることができ、効率よく対処できます。

また、それにより顧客への対応を統一することもできます。さらに手間を減らすために、「よくある質問と回答」などをホームページ上に公開するのも1つの方法と言えます。

業務を複数回に分ける

業務の量は人によって異なり、日によっても違います。集中的に業務が発生した場合、対応する時間を分けることで、担当者の負荷を減らすことが可能です。このような対応を「さみだれ対応」と呼びます。

さみだれ対応を効果的に活用できる場面として、「資料チェック」が挙げられます。たとえば、資料作成担当者が50の資料を作成したとします。作成した資料は次の担当者へ引き継がれますが、その場合、引き継がれた担当者が1度に50もの資料をチェックすることとなり、大きな労力と時間がかかります。

では、1回に作成する資料を10にして、それを5回に分けて送る場合はどうでしょうか。作成する人も受け取ってチェックをする人も、1回の負担は大きく軽減されます。さみだれ対応のコツは、渡す側がどの程度の量であれば問題なく処理できるのかを事前に把握しておくことです。

業務の担当を変える

人には得手不得手があります。たとえ不得手だとしても仕事はこなさなければなりませんが、もし可能であれば担当の変更も検討してみましょう。

その場合は、まず人事担当者などが話し合いの場を設け、社員の今の状態について把握します。それに加えて部署の責任者とも相談しながら、適正な担当部門・担当者になれるように調整します。それだけでも、業務の効率化が期待できます。

たとえば、英語が得意な社員を営業や総務に配置するよりも、海外部門に変更させた方が業務の効率は上がると考えられます。その他にも、コミュニケーション能力が高い人であれば営業、製品事情に詳しい人であればマーケティングなど、それぞれ得意な分野を確認し見直すことが大切です。

作業をスピードアップ

単純なことですが、作業スピードが上がれば効率も上がります。仕事が早い人の特徴として、1つ1つの処理が非常に早く、次の業務のことを把握しながら取り組んでいることが挙げられます。頭の回転だけでなく、頭で処理したことを動作として連結させるスピードも早いのです。

しかし、ただ早いだけでは意味がありません。仕事が早くてもミスが多ければ、修正に時間をとられ、結果的に効率が低くなることも考えられます。スピードも意識しながら、ミスの少ない作業を心がけましょう。

作業を早くこなすには慣れも必要ですが、自主的にスキルアップすることも大切です。パソコンを使う作業であればブラインドタッチが可能になるなどタイピングのスピードを上げること、英語の資料を使うことが多いのであれば英語の勉強をしておくこと、などです。あなたの努力で、業務の効率は格段に上がるのです。

色々なアイデアを組み合わせる

今まで紹介してきたアイデアを確実にこなしていくだけでも効果が期待できますが、それらを組み合わせることでさらに大きな効果を実感することができます。たとえば、「業務マニュアルの作成」と「業務フローチャートの作成」を組み合わせることで、一度で業務の内容だけでなく流れも分かり効率が上がります。

そして結果的に「作業スピードを上げる」ことにも繋がります。ただし、アイデアを1度にすべてやろうとしないことがポイントです。アイデアには相性があり、相性が悪いと効率を下げることにもなりかねないため、組み合わせには見極めが大切です。

業務効率化のアイデアを成功させるポイント

業務効率を上げるアイデアは複数あります。しかし、それらのアイデアをただ実行するだけでは、効果はあまり期待できないかもしれません。上手く活用するには、それぞれのアイデアに合ったポイントを押さえておく必要があります。

アイデアを試す際にはどのような点に注意すればよいのかを具体的に見ていきましょう。

効率化を行いたい項目を明確にする

すべての業務を効率化しようと考えると、膨大な時間が必要になるでしょう。効率化に固執すると、逆に効率が悪くなることもあります。そのため、まずは効率化したい項目をピックアップしてみましょう。

新しいマニュアルを作成して業務のクオリティを均一化させたいのか、仕事のムダをなくし効率化させたいのか、担当者の配置を見直して平均的な業務スピードを上げたいのかなど、改善させたい項目を決めましょう。それにより、まず何をすればよいのかが見えてきます。

普段の業務における「ムダ」を洗い出す

業務には、少なからずムダがあると考えられます。まずは、普段から行っている業務を時間毎に書き出してみましょう。「何時から何時まで」「誰が」「何をしているか」などです。

すると、同じ時間に同じ業務をしている人や、やらなくても良い業務をしている人などが見えてきます。普段から行っている業務の中にある「ムダ」を見つけだすことで、業務の効率化にむけて改善できます。

まとめられそうな業務を見つける

業務の中には、まとめることができるものもあります。たとえば、似たような仕事をしている人が別々の部署にいる場合などは、どちらか1人に業務を任せてみましょう。すると、残った1人の手が空き、違う業務が行えます。

その他にも、同じメンバーで行う会議を数回に分けて予定している場合は、1回にまとめることも良いでしょう。会議時間だけでなく、それにかかる移動時間なども短縮することができます。

マニュアルで業務クオリティを均一化

1人の優秀な社員がすべての業務をこなせたとしても、他の社員が同じように業務をこなせない場合、業務効率は悪いと言えます。そこで重要になってくるのが「業務マニュアル」の存在です。業務マニュアルというのは、社員の業務のクオリティをできる限り均一化するために作成されるものです。

マニュアルには業務の内容だけでなく、企業で働くことの心得やルールなども記載されています。業務への意識を高めながら知識を付け、それが結果的に業務の効率化へとつながっていきます。

効率化を機に資料の規格統一を図る

資料の規格というのは、どんどん更新されていくものです。マニュアルによって規格が変わってしまうと、それを読む人がそれぞれ違う知識を身に付けてしまう可能性があります。業務の効率化を考えるのであれば、資料の規格は統一して作成しましょう。

分かりやすく作成するには、フォーマットやデザイン面も重要です。書式やフォントなど細かい部分も統一すると、より見やすくなります。細かい点まで統一しておくことで、差し替えや修正の際にも便利です。効率化を考えることをきっかけに、資料の規格を統一してみましょう。

また、マニュアルは紙媒体で作成することもできますし、メールや社内システムで一斉に送信して配布することも可能です。どのような方法が一番適切かを吟味し、慎重に進めていきましょう。

業務への極端なこだわりは効率化を妨げる

業務に対して完璧や高いクオリティを求めることは大切なことです。しかし、そのこだわりが業務効率を著しく落としている可能性もあります。

こだわりが強くなり、作業に遅れが出ている場合などは問題です。どれだけ完璧であるかと言うことよりも、「依頼者の目的達成」を意識すると良いでしょう。「こだわりをなくす=手を抜く」ではないことも頭に入れておいてください。

実際に働く人間へのカバーも考える

効率化することが必ずしも良い結果につながるとは言えません。人によって得意なことや不得意なこともありますし、今までやってきたことが変化し、かえって効率が悪くなることも考えられます。

そのため、効率化することで社員にもたらす影響や、その対策についても考えておく必要があります。実際に働く人をカバーすることも大切です。

業務効率化のアイデアを実行する上での注意点

業務効率化のアイデアや事例を参考に改善していくことは大切です。しかし、改善することに固執し過ぎ、逆効果になることもあります。ここでは、アイデアや事例を参考にする際、どのようなことに注意すべきなのか解説していきます。

いきなりすべてのアイデアを実行しようとしない

業務効率化を考えるにあたり、多くのアイデアや事例がありますが、いろいろなアイデアを一気に実行しないようにしましょう。一見、効率よく効果が期待できそうに思えますが、必ずしもそうとは限りません。

1つのアイデアを100%実行することと、10のアイデアを10%ずつ実行することでは、大きな差があります。キャパシティが同じとすると、1つのことを100%実行する場合は、それに対しての達成率は高くなります。しかし、一度に多くのことを実行すればそれぞれが中途半端となり、結果的に何も得ることが無いといった事態にもなりかねません。

大切なのは、働く人のキャパシティに合わせて現実的なプランを立て、確実に実行できるようにすることです。

起こったミスはフィードバックとして活用する

仕事をしていく上で、ミスは必ず起こるものです。重要なのは、ミスそのものではなくこのミスをどのように処理するかということです。

一番やってはいけないのが、そのミスを上司に報告しないことです。自分が失敗してしまうと、そのミスを報告したくない気持ちも分かります。しかし、そのミスが何回も続けば業務が遅れるだけでなく、会社自体にも大きな損害を与えかねません。

まずは、起こったミスを正直に報告しましょう。「起こったミスは何だったのか」「なぜそのようなミスが起こったのか」などを事前に整理しておきます。そのミスに対しての対応についても考えておきましょう。それに加えて、他の人も同じようなミスをしていないか確認します。ミスを単なるミスだけで終わらせず、フィードバックとして次へ生かせるようにしましょう。